U Spin

日々憂憂

幸運な鳥の話

鳥飼いだから、ついつい鳥モチーフの本を選びがち。(文鳥/夏目漱石に、よだかの星/宮沢賢治……)

 

ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯 (文春文庫 キ 16-1) https://amzn.asia/d/86ztR6J

今しがた涙ぐましながら読み終わりました。

感動して、最後らへんのページは止まり止まりでしたが、久しぶりにスッキリと晴れ晴れとした読後感を得られました。

舞台は、第二次世界大戦下のロンドンの一角。

小さな生まれたてのスズメが、音楽の教養富んだ婦人に拾われて一生を終えるまでの『伝記』になります。

ページを捲る度に、本来は野鳥であるスズメが見せる筈ない心を許した仕草になんとも微笑ましくなり、婦人のピアノに合わせて囀ずり、共に慰労へと赴く姿に健気さを感じます。

時に、鳥故の脅威と相対する場面や、不安定な情勢からの危機的な場面もありますが、苦難を乗り越え懸命に生きたスズメの姿は、とても美しく、最期まで婦人を励ましながら、愛し愛された姿にすごく心を打たれました。

また、どうやって関わっていったかを一つ一つ身振りや表情を細かく丁寧に綴っているので、鳥飼いとして共感する部分が多く、始終本の中から婦人が彼に語りかける声がずっと聞こえてくるようでした。

 

(鳥贔屓目もありますが……)

こんなに美しい伝記をありがとう。と、作者や役者に感謝を伝えたい限りです。

 

 

寝れんわ~