『戦争と人類/グウィン•ダイヤー』
こんにちは、今日は平和ですか?
手の届く範囲にいる人は安心そうな顔をしていますか?
目の前にいる人は、本当に生きていますか?
他に沢山の積み読あるけど、ただこれを書きたいが為に、ブログを再開してみました。
きな臭い情勢に置かれている昨今、年末に書店で購入したのを、最近になってようやく着手した一冊。
2章『実戦のありさま』より
「戦闘に慣れる」ということはない。戦場では、一瞬一瞬、極度の緊張にさらされ、それが強く長く続くせいで人間が壊れてしまう。
(戦闘の心理的影響に関する米陸軍の調査)
個人的に衝撃を受けた内容がとても多かった章で、これから先読める?と不安にもなった所。
これに合わさっていく将校らの発言と兵士になる為の過酷さにうっとなりながら、所詮、私は、テレビ画面に映り戦う彼らを、今まで結局他人事として見ていなかったのだと深く反省させられました。
また、終盤には故に射程距離が伸びて抑圧を失いゲーム化していく戦争にどう向き合っていかなければいけないのかを問題提起してくれます。
その実相からの戦争の起源へと掘り下げる流れがスムーズで思いの外、それからサクサク読めたのも、作者が教鞭を取っていたからだと思います。
こうすればこうなる(被害など)。~で、なければならない(それぞれの在り方など)。けど、それは簡単ではないよ。と、一つ一つのテーマに合わせて、簡略化された図と写真も合わせていきながら、しっかりと丁寧に著述してくれてるのは、いち読者としては本当にありがたい事であり、裏を返せば被害者意識が強い平和教育へのアンチテーゼにも感じました。『平和』について、他国の『戦争』そのものの歴史的な側面などのチャンネルを増やす事で、日々のニュースで感じる事、考える事も違ってくる。違いに気づいて、深く知らなければと思ってくるのだ、と。
決して何が『正しい』か分からない世の中で、不安の闇が覆う世の中で、終章につれて作者の本音と使命感のような箇所は、本書のタイトルの綺麗な伏線回収にも思えます。
自身の無知と無力さを知る、今だからこそ読んで欲しい一冊です。