U Spin

日々憂憂

無関心

あまりにここ最近、何事にも無関心過ぎて外に出た。乾燥の季節で、風に当たると砂も混じるような錯覚をして喉が痛く感じる。

行きはよいよい、帰りは急げなので少し早歩き。

町をぶらりしながらカラオケでワンドリンク分だけ歌って出て、路地の重なる広めの商店街をウロウロ。

老若男女、外人もたむろしていて、どことなく足取りはゆっくりしているようだ。古着屋や100均一、老舗の通りを抜けていく。欲しい物は特にない。

空は決して晴れてる訳ではない曇天模様。桜がグレーかかってくすんだように見えても目一杯に咲いているのに感心して、あぁ春なのかと一息。

地元で有名な回転焼き屋さんで、あぁそうだと祖母のお土産を調達。店先でもくもくと作る職人さんを横目に、出来立てであんこぎっしりの饅頭に、袋から漏れる蒸気に熱を貰う。

触れればふにゃりと柔らかい食べ物から頂く熱は、とても心地がよい。

それから思い出したように、洒落た小さな石屋さんに足を踏み入れる。キラキラと丸みのあるジュエリーから、ゴツゴツと岩肌そのものから切り取ったような原石まで、皆礼儀正しく息を潜めて並んでいる。眺めて手に取りながら、割賦のいい優しそうな口ひげの店員さんと「久しぶりですね」と挨拶される。……来店したのは、何年か前だったのに覚えてくださっていたのに、内心恐縮してしまう。

あの頃は、時世について考えてなくて、職業訓練校後の進路でいっぱいいっぱいだったなと回想する。

紫、桃、緑、青、それの合間のなんとも言えない深く淡い彩りに、不意に心が動かされた。

あまり悩む方でもないが、財布と相談して、いつものラブラドライド原石、土色の魂みたいな形の石•ストロマトライトとヴァースアメジストという粉砂糖をまぶした頭をした可愛い小指サイズのアメジストを購入。小さな物言わぬ命がセージの煙をくぐって、梱包され、華奢な紙袋の中に納められる。

石を選ぶ時は、その意味が今の自分を表していると俯瞰できるので好きだ。また、ストロマトライトは地球の起源に関わる石との事で笑顔で語る店員さんと話に花が咲く。

そして、帰りがけ、そのお店の石についてのメッセージを見ると、最近冷ややかな自分を戒めるような言葉があった。

内心、平和なのはあと2~3年ではないかと思っていた節があった。調べれば調べるだけ、時代の逆行をひしひし感じるようになっていた。

それが、少し気持ちの紐が緩められた気がした。

 

たまに、外に出るのもいいかもしれない。

今は、まだ限られた平和な時間の中にいるのだから。